ここだから言える『IKUE|幾重』研究開発マニアックストーリー1〜界面活性剤〜
こんにちは、『IKUE|幾重』の研究開発メンバーの光田です。
今回から3回にわたって、『IKUE|幾重』の製法で特にこだわったポイントをお伝えできればと思います。
場合によってはマニアックですが、読めば自然と頭皮や毛髪ケアの知識が付くような内容にしていきますので、ぜひ続けてお楽しみください。
第1回目のテーマは「シャンプーに含まれる界面活性剤について」です!
みなさん、「界面活性剤」と聞くとどんなイメージを持ちますか?なんとなく「肌にダメージを与える悪いもの」と思っている方も多いのではないでしょうか。
でも、シャンプーには必ずと言っていいほど界面活性剤が入っています。私は研究開発員と同時に美容師でもありますが、サロンに納入される数々のシャンプーにも絶対入っているんです。界面活性剤が。
これって不思議だと思いませんか?仮に界面活性剤の量を減らしたらどうなるのでしょう?それこそ、従来の半分の量にしてみたら。。。?
『IKUE|幾重』シャンプーの開発過程においては、この界面活性剤の「量」や「配合バランス」に、傍から見たら引かれるほど尋常じゃない熱量で向き合いました。
試作品のボトルで埋め尽くされる研究部屋と自宅のお風呂を想像していただければ、界面活性剤と寝食を共にした様子が理解いただけるかと思います。
さて、早速そんな「界面活性剤」についての探究秘話をご覧ください。
界面活性剤は「悪」なのか?
数ある界面活性剤の中でも、特に高級アルコール系界面活性剤についてネット上調べると、「そんなのが入っているシャンプーは粗悪だ!」と言わんばかりの批判的な情報に行き着く場合があります。
反対に、アミノ酸系界面活性剤については肯定的な情報が多く、「アミノ酸系シャンプー」と聞くだけで「良さそう」と感じるのではないでしょうか?
これね、正確には、どちらが良くてどちらが悪い!とは一概に言えないんです。
なぜなら、高級アルコール系界面活性剤にも、アミノ酸系界面活性剤にも一長一短があるからです。
まず、界面活性剤の役割から整理します。界面活性剤は「油汚れの洗浄のために、水と油を混ざりやすくして落しやすくするため」の成分です。つまり、シャンプーには必ず入っているものになります。
高級アルコール系界面活性剤は、市販シャンプーの多くに使われていますが、「泡立ちやすい」「洗浄力が高い」という特徴があります。これはメリットです。しかし反面、洗浄力が高いと「肌の保湿成分まで落としてしまう可能性」があります。これが、高級アルコール系界面活性剤が批判される主な理由です。
では、アミノ酸系界面活性剤についてはどうでしょう?
アミノ酸系界面活性剤は、「低刺激性」であることがメリットです。肌の保湿成分を守りながら洗浄できます。しかし一方で「泡立ちにくい」という特徴があります。サッパリとした洗い上がりを求める人は物足りなさを感じることが多いです。
このように、高級アルコール系界面活性剤とアミノ酸系界面活性剤のメリット・デメリットは、補完するような関係にあります。
さて、すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、界面活性剤は、高級アルコール系だから悪い、アミノ酸系だから良いというものではありません。
適切に汚れを洗浄できて、適度に肌を保護するためには「配合バランスが重要」ということになります。
ちなみに、世の中には「アミノ酸系」と謳いながら、もこもこと泡立つシャンプーもあります。それは、高級アルコール系界面活性剤の配合がほとんどで、アミノ酸系界面活性剤の配合がわずかだからです。表現のマジックには注意したいところですね。
『IKUE|幾重』に使う界面活性剤について
『IKUE|幾重』のコンセプトは「幅広い年代の頭皮に合うシャンプー」です。
頭皮の脂が気になるお父さんも、乾燥が気になるお母さんも、スポーツで汗をかく子どもたちも、家族みんなの頭皮を清潔に洗い上げ、かつ守ることもできる。そんなシャンプーを目指しました。
このコンセプトにしたのには理由があります。
私たちは東京と神奈川を中心に「ディアローグ」という美容室を展開しており、日々、さまざまな年代のお客様の頭皮のコンディションを見ています。
それはそれは千差万別です。本来ならば薬の処方箋のように、一人ひとりの頭皮環境に合わせて界面活性剤を配合したシャンプーを使うのが理にかなっています。でも、頭皮環境は時期によっても変わるものなので、現実的にそれは難しい。。。
そこで、「どんな頭皮環境にも対応できる”これ1本!”のシャンプーが作れないか?」と問いを立てました。
つまり、先ほどお話しした高級アルコール系界面活性剤とアミノ酸系界面活性剤の「絶妙なバランス」を追求することにしたのです。
もちろん、頭皮に優しいことが大前提です。だからまずは「一般的なシャンプーに比べて高級アルコール系界面活性剤の配合量を半分にする」という方向性を固め、あらゆる種類の界面活性剤をブレンドして実験する日々が始まりました。
配合バランス100%と99.9%の違い
私には「興味関心がある分野は徹底的に研究し尽くす」という個人的特性があります。これは幼い頃からそうで、少しでもクリアになっていない点があると「知りたい、理解したい」欲求がとめどなく湧き上がってきます。
『IKUE|幾重』シャンプーの界面活性剤の配合についても同じでした。「ベストバランス」を求めて、配合する種類を変えてみたり、入れる順番を変えてみたり、0.1%ずつ配合量を変えてみたり。。。
寝る時間以外は界面活性剤の配合の研究に充てていました。探究心が止まらなかったんです。
あっという間に、試作品のシャンプーボトルで研究部屋が埋め尽くされました。置ききれない分は仕方なく自宅に持ち帰ったのですが、自宅のお風呂場もすぐにシャンプーボトルだらけになりました。
妻から冷たい視線が度々飛んでくるのは分かっていました。でも、探究がやめられない・・・!
1,000回以上の配合を試し、自分の頭皮が擦り切れるんじゃないかと思うほどシャンプー実験をし、美容師仲間も納得するバランスを見つけました。
ようやく、、、
、、、、でも、
「もっと良いバランスにできるんじゃない?」
私には「興味関心がある分野は徹底的に研究し尽くす」という個人的特性があります。少しでもクリアになっていない点があると「知りたい、理解したい」欲求がとめどなく湧き上がってきます。
紛れもなく聞こえてしまいました。「もっと良いバランスにできるんじゃない?」って。
この心の声を無視することはできません。ネクストゴールに向けて、さらに0.1%単位で界面活性剤の配合量を調整すること約1ヶ月。
ついに100%ベストバランスに辿り着き、『IKUE|幾重』シャンプーは爆誕しました。
一歩手前の99.9%バランスのときとは、明らかに使用感が違います。0.1%の差でこんなにも。。。神は細部に宿ると言いますが、最後までこだわり続けて本当に良かった。。。
心からそう思える瞬間でした。
美容師目線だから生まれた『IKUE|幾重』
今回は、『IKUE|幾重』シャンプーのこだわり製法の中でも「界面活性剤の配合バランス」についてお伝えしました。
- 高級アルコール系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤にはそれぞれ一長一短がある
- 高級アルコール系界面活性剤は泡立ちやすく洗浄力が高いが、頭皮の保湿成分まで洗い流す可能性がある
- アミノ酸系界面活性剤は頭皮の保湿成分を守りながら洗浄できるが、泡立ちにくい
- 適切に汚れを洗浄できて、適度に肌を保護するためには、高級アルコール系界面活性剤とアミノ酸系界面活性剤の配合バランスが重要
- 『IKUE|幾重』は「どんな頭皮環境にも対応できる”これ1本!”のシャンプー」を目指した
- 『IKUE|幾重』は、一般的なシャンプーに比べて高級アルコール系界面活性剤の配合量を半分にしつつも、多種類の界面活性剤のブレンドで洗浄力と頭皮の保湿を両立
振り返ってみると、こんな研究開発ができたのは美容師だったからだと思います。
日々、あらゆる年代のお客様の、あらゆる頭皮環境を見てきたからこその発想です。(と、自分で言います)
書いているうちに、私の血が滲むような努力をお伝えするような内容になってしまいましたが、そんなことはさておき、ご家族のみなさんで『IKUE|幾重』を使って、自宅でサロン級の頭皮ケア、毛髪ケアを楽しんでいただければ幸いです!
光田 研究員
ディアーローグコスメティクス上席研究員
美容師歴14年
プロフィール
もともとの化学好き、探究心の高さから、美容師からヘアケアアイテム研究員へと転身。
述べ20,000人のお客様の髪の悩み、美容師の目線で解決するべく、日夜研究に没頭中。