『IKUE|幾重』が生まれた優しすぎる理由 【前編】
はじめまして、『IKUE|幾重』の研究開発に携わったディアローグの光田と申します。
ディアローグは、東京と神奈川を中心に9店舗を展開する美容室です。
グループ会社として、化粧品製造を行うディアローグコスメティクスがあります。
私はディアローグに14年間勤める美容師ですが、あるきっかけによりシャンプーやトリートメントを「使う側」から「作る側」になりました。
あらかじめお伝えしておくと、何かやらかして左遷されたわけではありませんのでご心配なく。
シャンプーやトリートメントの開発に乗り出したのは(時の運も含めて)理由があります。
今からそれをお話ししていこうと思います。
特に初めて『IKUE|幾重』を手に取っていただいた方にはぜひ読んでほしいです。
『IKUE|幾重』の開発ストーリーをお楽しみください。
仲間の痛みを、見て見ぬ振りしたくなかった
「痛ッ・・・!」
という声が耳に入り、ふと目線をそちらの方向によこした。
シャンプー担当のスタッフが自分の手指をさすっている姿があった。
彼女の手指は荒れ、ささくれができてボロボロだった。ところどころ血も滲み出ていた。
美容室のスタッフは、1日に何人ものお客様の洗髪をする。それを年中くり返す。手荒れに悩むスタッフは非常に多い。
もちろん、手荒れの進行を防ぐためにシャンプー時に手袋を着用しているが、それでも荒れてしまう。
ただし、誰も好きで手荒れをしているわけではない。お客様の髪が綺麗になるようにシャンプーやトリートメントをしているだけだ。なのに、結果的に自分の手を痛めてしまう。
美容師業界では当たり前の光景かもしれないが、私はこれに疑問を抱いた。
「美容師が毎日お客様の髪を洗っても、手が荒れなくなるにはどうしたらいいのか?
逆説的に考えて、美容師の手に負担の少ないシャンプーやトリートメントであれば、お客様の髪や地肌にも優しいのではないか?」
そんな思いが日に日に強まる中、コロナ禍が訪れた。
美容室の客足が遠のいた。まずい、売り上げが立たない・・・!
当然焦ったが、ふと頭のスイッチが切り替わった。
今まで忙しくて後回しにしていたことに、ようやく取り掛かれるのではないか?
むしろ、チャンスは今しかない!
「美容師の手に優しいヘアケア製品を、自分たちで研究して作ろう」
これが『IKUE|幾重』が誕生する最初のきっかけだった。
あえてトレンドの逆を行く
美容師として14年間のキャリアはあるが、ヘアケア製品の開発はゼロからのスタートだった。「ゼロからのスタートだ」なんて格好の良い言い回しをしたが、要するに何も分からない。
でも、やると決めたからにはやるしかない!
グループ会社で化粧品製造を行うディアローグコスメティクスの研究員や、同僚の美容師からのバックアップやアドバイスを受けつつ、試行錯誤の日々が始まった。
日本人の髪や地肌は、外国人に比べて繊細な傾向がある。シャンプーやトリートメントには、「優しさ」が必要だ。美容師たちの荒れた手を思い出しながら、とにかく低刺激処方であること最優先にすると決めた。
一方で、世の中で売れているヘアケア製品を見渡すと、とある年齢層やお悩みに向けて”尖らせた”アイテムばかりだった。その方が分かりやすいし、売れるのも納得できる。自分が購入者の立場だったとしても、「お、まるで30代の俺のためにあるような商品じゃん?」と思えるようなモノを選ぶだろう。
でも私たちが作りたかったのは、「家族みんな」で使えるような、優しいヘアケア製品だった。どうですか、全然尖ってないでしょう?マーケティングの専門家に相談したら絶対怒られるヤツです。だから、「果たして売れるのか・・・?」と不安がよぎったこと数知れず。
でも、その度に「何のために開発をスタートしたのか?」と目的に立ち返った。美容師仲間の痛みを少なくしたいからでしょうよ!忘るるなかれ。
”売れ線”に日和そうになったときはこんなふうに自分を戒め、開発を進めていった。
光田 研究員
ディアーローグコスメティクス上席研究員
美容師歴14年
プロフィール
もともとの化学好き、探究心の高さから、美容師からヘアケアアイテム研究員へと転身。
述べ20,000人のお客様の髪の悩み、美容師の目線で解決するべく、日夜研究に没頭中。